2021/07/12 16:32
なぜ昭和レトロな「モノ」に魅力を感じるのか
1.レトロな素材の流行
2005年に映画「ALWAYS三丁目の夕日」が公開されて以来、昭和を素材としたレトロな世界観の人気は根強く続いています。
最近では、音楽を聴くと言えばスマートフォンによるストリーミングが主流であり、新曲でも簡単に音楽が聴ける時代です。なのに何故かこの時代に、人気アーチストがレコードやカセットを出したりしているし、レコード店が人気であったりしています。ラジオからは、80年代に流行したシティポップが流れ、最近のアーチストによるシティポップのカバーも多くなっています。
さらにインスタントカメラやカセットテープが人気であったりするのは、こんなに発展して便利な時代なのに不思議な感じがします。
2.一体だれがこの流行を生んでいるのか?
この昭和レトロ人気の底流には、昔を懐かしむ50代から60代の世代が居ることは当然のことですが、昭和な時代を経験していない平成生まれの若い世代までが、このレトロな世界観の流行を牽引するのはなぜなのでしょうか。
50代から60代の世代が、現代の技術革新によるデジタル化社会を考えれば、「便利」な世の中になったと感心しつつも、必死に付いていく感は否めないと思います。そのうえで昭和の時代との対比を感じながら受け入れている人は多いと思われますが、昭和を知らない世代、すなわちデジタル化された社会しか知らない世代にとっては、到底懐かしさから昭和レトロを楽しむ訳ではないはずです。でもZ世代においても昭和レトロな世界観は支持されているのです。
3.Z世代にも支持されるわけは?
Z世代は、概ね1990年代後半から2000年代前半に生まれた世代のことを指します。
2010年から2020年にかけて、社会に進出し、影響力をだしてくる世代です。
実はこの世代、バブル世代を経験した世代の親を持ち、耳から入った親の昔話に親近感を持っていて、知らない時代の話なのになぜか懐かしい感覚を持っているのです。一方、なんでもスマホでできる時代を生きている世代でもあります。ネットリテラシーが高く、インスタやツイッター等のSNSによって情報を得ています。またダイバーシティや環境問題にも関心が深く、自分らしさを大切にしています。デジタル社会のせいか体験型を好み、本物志向であることもこの世代の特徴にあげられます。デジタル化社会によって失われた体験を求める志向こそ、親の世代から聞いている昭和の時代のライフスタイルへの憧れや安心感につながる思考、と言えるのかもしれません。
4.昭和レトロが今も残る潮流
昭和と言っても昭和30年代、40年代はまさに高度経済成長期であり、「ALWAYS三丁目の夕日」に描かれるような人情や助け合いの残る、まさに昭和レトロの王道の時代ですが、Z世代にとっては情報量の少ない時代でもあります。親やTVなどによる情報が多いのは、その後の昭和の時代であり、バブルの崩壊という負の遺産のイメージがありながらも、デジタル化によって失われていくものが残る時代でした。バブル世代の親たちも、バブル崩壊という多難な時代に生きながらも、デジタル化されていない古き良きものの残るとして時代として、次世代に語ってきたことと思います。
5.昭和レトロの良さ
デジタル化によって完成されてきた生活の利便性は、コミュニケーションの希薄化や体験の減少化を生んできました。また東日本大震災以降は、気迫な人間関係はさらに見直されるようになり、「周りのやさしさ」「シェアをする」「ものを大切にする」「不完全さ(手間)の楽しさ」などへの興味も相まって、それを持ち合わせた昭和の時代への憧れや見直し機運へとつながってきたように感じます。「今の時代で本当にいいのか」という素朴な疑問は、デジタル化によって失われたものの体験や見直しとなり、昭和にあった「いいモノ」「いい文化」への気づきになったことでしょう。 大量消費社会は、「モノ」へのこだわりを失くし、「良いモノ」を作り出す文化を後退させ、「モノ」使う工夫を考えなくさせていきます。 「不完全なモノ」から人間味を感じ、また「モノの良さ」を感じることは、とても大切なことであり、不便な昭和の古き良き時代を感じることのできる昭和ㇾトロな「モノ」たちは、人に人間味や温かさを感じさせる力があるのではないでしょうか。
昭和の文化に触れてみることにより、失われつつある人間に必要なライフスタイルについて見直すことにつながれば、昭和ノスタルジーも捨てたものじゃないかもしれません。
「昭和レトロな雰囲気」「昭和ノスタルジーなライフスタイル」を味わえる「モノ」を探してみてはいかがでしょうか?
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